泳ぐの濁点

丸善日本橋へガラスを見に行く。通ってる研究所の先生が何か出すと聞いたから行ったのに見あたらない。締め切り間に合わなかったのかな。でも好きな作家が器をたくさん出してて満足した。友人が用賀に住んでいたころ、遊びに行く前に暇を持て余して入ったギャラリーで見つけた人。空想上の宇宙みたいにギラギラした、不透明な酒器を売っている。こういうのに日本酒を入れると反射光が妙にねっとりして見えるから、酒というより秘薬か毒を飲むような気持ちになる(粘度のある液体と秘薬/毒は、一休さんが水あめを盗み食いする話によってイメージづけられています)

粘度といえばプールもねっとりしたイメージとともにあって(血液がぴったりくる)、入水するたびに裏切られている。だってシャバシャバが過ぎる。たぶんプールの記憶とともに耳元で破裂する水音が浮かんでいて、こんなにも泡立つ液体はある程度の粘度を有しているに違いないって錯覚するんだと思う。あと泳ぐに濁点がついているせいもある。明らかに濁点が、動作に僅かな抵抗を与えている。そよと吹く風は薄くて軽くて乾いてるけど、そよぐ風は湿っているし。泳ぐに濁点があってよかった〜。