互換性

風がびゅんびゅん吹いていてうれしい。気圧変化への根深い恨み(あらゆる不調を気圧変化のせいにしているため)はあるが、それはそれとして強風が好き。今の家はあまり風が吹きこまないけど、前の家や実家にいた頃は台風が来るたびベランダへ出て、風に殴られるよろこびに打ち震えていた。

たぶん、他者から与えられる物理的な圧力全般が好きで、強風もそれに含まれるのだと思う。痛くなくて、安全が保証されていて、予測できない圧力。冬の満員電車で人波に流されたり、睡魔に体幹を溶かされた人によりかかられたり、道を間違えてばかりいるのを見かねた友人に腕をひかれたりする心地よさと、風に吹かれる心地よさは同質だ。つまり今日はジェットコースターで通勤したのだ。私絶対に1ミリも抵抗しないから、押されたり引っ張られたりされるがまま、永遠にふわふわゆらゆらしていたいよ。悲しいかな、自重と重力と摩擦力がそれを許さない。