『卒業の終わり』

『無垢なる花たちのためのユートピア』より。表題作がすでに最高だったのに、6篇目の話があまりによくて胸が痛くて苦しくて足先まで痺れてしばらく動けなくなっていた。百合ではない女学園ものの繊細な関係性が好きで、自分の中では空木春宵『徒花物語』がグロもあってベストだったけど(オマージュ元の『花物語』も好き)それを遥かに越えてよかった......根底に家父長制と異性愛主義への批判があることで、いわゆる「少女らしい」可愛らしさ柔らかさ淑やかさ(あるいは、美しい残酷さ)に奥行きが生じていて、しかも一縷の希望がある。描かれている世界は現実以上に最悪なのに、抜けるような読後感だった。読む快自体も濃厚だし、こんなに好みの物語に出会えてしまえて大丈夫だろうか、贅沢すぎないか?一度読んだものってあまり読み返さないけど、もう読まなくてもこの空気を吸えるくらいに読み返したい。