再構成

運動不足が甚だしいので散歩に出たら、隣の家から何かが飛び出してきた。よく見ると男の子だった。歩道のない坂を上るその身体は、絶えず裏返るアスファルトに覆われて黒ぐろとしていた。保育園のある方向から愚かな子どもがやって来て、ゴジラだ! と叫んだ。愚かな母親は悲鳴をあげ、子の手を引いて逃げ去った。少年は気にせず歩き続けた。私も堂々と後をつけた。
少年は住宅街の隙間に生やされた公園に踏み入り、途端にその身を草色に染めた。凝縮された青い匂いが細い四肢から散布され、私は吐き気を押しとどめた。少年はそのまま遊具のある方へ歩いて行った。雑草がまばらになるにつれ蔦の長髪が抜け落ち、うす茶けた土人形が出来上がった。土人形は砂場に入り砂人形になった。いたはずの子どもたちは皆消えていた。
そこへ重たそうなエコバッグを担いだ男がやってきた。男は少年を抱き上げ、ジャケットの袖が砂で汚れるのも構わず、胴の真ん中で二つにちぎって重ね、両手で挟みこむようにくるくると丸めた。少年は小さな肉団子になった。男はむちむちとした球体を満足げに眺め、エコバッグへ放りこんだ。きっと少年は十個入り卵パックの凹みにはまり、男から与えられた肌を透明にして眠るんだろうと私は想像した。