2022-01-01から1年間の記事一覧

別府

阿蘇から別府への山道は、180度カーブが至るところにある上にポールがあったりなかったりする冗談みたいな道だった。友人の運転がうまいので私は安心してはしゃいでいた。離れの露天風呂付客室を予約しており、友人は仮眠をとっていたので、一人で日本酒を入…

阿蘇

山の中にモンゴルのゲルみたいなドーム型の部屋が並ぶ、メルヘンなホテルに泊まった。ドーム型なので声が反響して、遠くにいる友人の声がすぐ隣から聞こえたり、自分の声が背後から聞こえたりする。朝は友人も私も起きれないので朝食を諦め、チェックアウト…

無敵の儚さ

昨日夜から寒いのが嬉しくて、そわそわしながら毛布と薄手の布団を被って寝て、起きたときも寒くてベッドが心地よかったので最高の気分で出勤した。空気が冷たいと身体のほてりが際立つ。それは放課後の空き教室に一人でいる子どものようで、寂しくて安心す…

パズル・パーティー

友人と、友人の先輩(ほぼ話したことがない)がパズルをしに来ていた。機会がないだけで、私はわりと誰でも家に泊めれるし、とりあえず泊めれば仲良くなれると思っている。友人の話から想像される先輩が、いい意味で無色透明という感じで安心していたのもあ…

いい加減学べよ

何かを作ろうとするとき、心を許している友人以外の人には笑われるか否定されるか子ども扱いしてまともに取り合ってもらえない(〇〇ちゃんはへんなこと考えるのねぇ〜、みたいな)と思っているので、ガラス教室では極力何の相談もせず黙って作業している。…

敬意というもの

「恋人が〇〇なのは私に敬意をはらっていないからだ」と話していた友人のことを考えていて気づいたのだが、私はそういう文脈での「敬意をはらっていない」に厳密には共感できていない。 「誠意」はわかる。それは、事象に対する/行動に込められる思いを評価…

歯の生えたなぞなぞ

ニュートンプレスの『古生物大図鑑』が届いて小躍りしている。現生種の何にも似ていない、面妖な古生物の形状も面白いけど、学名が絶妙に適当かつポエミーなのがいい。カルニオディスクス(葉っぱのような平たいもの)、ディノミスクス(ワイングラスの茎)…

老婆の少女性

いわゆる「かわいいおばあちゃん」なんて滅多にいるもんじゃないと思ってたけど、自由が丘のガラス教室にたくさんいた。 全員でないにしろ、驚くほど純度の高い少女性をもった人ばかりだ。「わあーっ、なあにそれ?」「カサブランカと、おにぎり!」「きれい…

健康週間

健康を習慣づけるため、友人が作った天才メニュー(一日に必要な栄養素がすべて摂れる)をリマインダーに入れ、一食品ずつ通知してもらえるようにした。 すばらしく快適だ。何が快適かって、食事がタスク化されたことだ。今まで私にとって食事とは、摂ったほ…

オートミール

今朝すごく怖い夢を見て、忘れるかなと思ってたけどまだ鮮明に覚えているので書いておく。 ずっと見えない悪魔のようなものに追いかけられている。ふとした瞬間に鏡や水面、煙に映って見える。視界の端で捉えるくらいなら、セーフ。でも目を合わせてしまった…

秋だよ!!!!! 外が二日連続で涼しくて、それも夏服じゃ肌寒いくらいで空気も乾いていて、本当に嬉しい。道行く人々に秋ですよ!ねえ!って話しかけて回りたい。一日だけ涼しいのはまあ、夏の気まぐれという感じだけど、二日連続は秋の訪れなのだ。調べた…

原始の香り

私は家で服を着ていない話をカジュアルにするので、何人かの友人には裸族だと思われているかもしれない。実は基本的に着ている。ただ服を脱いだあと着るのがとんでもなく億劫になる、そのタイミングで裸族になってしまうことが多々あるだけだ。だから裸族タ…

眠り②

夕方2〜4時間寝て起きて朝方から数時間寝る、みたいな身体に悪そうな生活で、日中はずっと眠くて部屋は荒れ帰宅と同時に「ああ〜〜〜暑い!もう何!?何だっていうの!?暑いんだけど!?死ね!」と叫びながら服を脱ぎエアコンをつけリモコンを叩きつける極…

選択しないという選択

本当にたまたま、好きな硝子会社が吹きガラスの職人見習いを募集しているのを見つけてしまい、そこは就活中にチェックしていたけど募集してなかったから諦めたところで、う〜〜〜...... 当たり前だけど給料も休日もメチャメチャ減る。貧困という二文字が眼裏…

地球パズル

やっと完成した。先月のパズル会と合わせて20時間くらいかかった。円形パズルは変わった形のピースが多くて面白い。それから工芸茶を飲んだ。指先でつまめるほどの球体をガラスポットに入れお湯を注ぐと、ジャスミン茶の抽出とともにほどけ、花が開く。直径…

アンプ

友人に話したいことを話し欲していた同情を得た。「え!私ほんとに同情されたくて、まさにその言葉、その同情が欲しかったの!ありがとう!」これ最大級の賛辞のつもりだったけど、文字にすると欲望がむきだしすぎてちょっとグロい。感情をむさぼり食うモン…

何も考えたくないときのための記録

癒やされたい。安心できる人に黙って抱きしめられたいがそんな人はいないし、寝るのが一番いいけど家つくまでは寝れない、てか眠くないし、本読んでも内容入ってこないし、ゲームも漫画も面白くないし、同情されたいけど人に話すことではなく、そもそも私が…

夏の餅と冬の芋

在宅勤務中、のんびりした歌が音割れしながら家の前を通り、こんな時期に石焼き芋?と思ってよく聞いたらわらびもちだった。 「わらびィ〜もち、わらびィ〜もち、冷たァ〜くて、おいし〜いよ」 めっちゃいい......。こんな素朴で平和な歌が堂々と流れている…

二人が死ぬまでには

両親と会った。びっくりするくらい疲れなかった。私が過度に気を遣い続ける関係から、お互いが適度に気を遣える関係になったというか。母親にとっての私がいい意味で「よその人」になって、軽率に傷つけていい存在じゃなくなったのかもしれない。 これまでは…

『おしゃべりな脳の研究』②

読み終わった。モダニズム文学作品(その限りではないけど)において外言と内言の融合が試みられている、という指摘でいろいろと腑に落ちた。 『ライ麦畑でつかまえて』を読んだあと、しばらくホールデンの口調と考え方に思考がつられてうるさくなるのは、文…

『おしゃべりな脳の研究』①

読んでいます。まだ途中だけど、個人的な内的現象が詳らかにされていくようで面白い。例えば知人の書く文章について、 『......読むとき引き起こされる内言は、ときに自分自身の声であり、自身の訛りの特徴を備えている。しかし、著者を知っている場合、その…

日常

やけに仕事がバタついていた。仕事がバタつくのはスリリングで嫌いじゃない。例えるなら、リズムゲームの難易度がどんどん上がっていくような感覚。立て続けに降ってくる白いノーツを規則正しく打ち音楽そのものになる、あの没入感が仕事にもある。一段落つ…

虚構存在への責任

窯出ししたガラスがなかなかの出来で嬉しくて、研磨したり次の作品の道具を見繕ったり、ずっとガラスのことを考えている。あれを作りたい、こうしたらできるかなと、浮かんだものを現実に落としこんでいく時間が一番楽しい。でもほとんどの作品は形にならな…

石垣島②③

午前中はシュノーケリングでクマノミを見て、午後はダイビングでウミガメを見た。クマノミはふかふかのイソギンチャクにひょこ!もふ!と出たり入ったりするのがかわいくて、ウミガメは頭を撫でると猫みたいに目を細めるのがかわいかった。体験ダイビングは1…

石垣島①

上空から八重山諸島を見下ろして、清湯スープラーメンが食べたくなった。海があまりに透明で、しずんでいる地形まで立体的に見えるから。ああいうスプーン作りたい、陶器の地で柄〜付け根を山っぽく作って、凹みに明るいエメラルドグリーンの釉薬を溜めるの…

眠り

10時間寝て起きたら、世界が素晴らしいという強烈な肯定が降りそそいでいてすべてが解決した。世界、なんて素晴らしいんだろう。そこに理由などない。メールを書いて送るそれだけのことがこんなに楽しいなんて! キーボードのタップ音と指先への軽やかな跳ね…

くらげ

暑い暑い暑い! ガラス教室の振替消化のため今日は6時間ぶっ続けで吹いていた。気温は40℃を超えていて本当につらかった。でも楽しかった。 くらげのお猪口を作ります、と自分なりに考えた方法を伝えると、それは無理だと思うよまあやるだけやってみたら、と…

架空の計画

友人宅へパズルをしに行く。今回はMoMAの1000pcs地球パズル。難しすぎて半分しか終わらなかったので、来月に持ち越すことにした。 また陶芸を始めるかもしれないと言うので、ガラスと陶器で一緒に何か作ろうよと提案した。瀬戸黒と銀箔入のガラス継いでイヤ…

夢現逆転現象

いやに現実的な夢を見る。現実より現実的で苦しいので、起きている方がよっぽど空想めいている。昨日今日で見たのは、 ・友達と旅行して、あまりの私のポンコツぶりにキレられ置いていかれる ・仕事でミスしすぎて、社内メールの枕詞に「大変お疲れのように…

『fishy』

人間の嫌な部分を煮詰めて煮詰めて鍋にこびりついたギトギトをこそげ取ったような小説だ。読む毒物だ。流産した人にざまあみろって言うな。しかし最悪な気分になるのにするする読める。ページを繰ってしまうのは、脳の騒音であるナンセンス思考がおそろしい…